蜂の子はどこで食べられている?
自然に囲まれた場所に暮らしている方でも、蜂の幼虫「蜂の子」を食べる機会はほとんどないものです。都会に暮らしている方であればなおさらでしょう。実は昔から蜂の子を食べる習慣がある地域があるのです。その地域に行けば簡単に蜂の子を食べられるのか、どんな食べ方があるのか、みていきましょう。
山間部を中心に食べられている
蜂の子を食べる文化は、以前は北海道から沖縄までありました。特に山間部の地域で食べられていて、蜂の子は海産物の採れない地域の貴重なタンパク源だったのです。
現在でもその文化は残っていて岐阜県や長野県、愛知県など中部地方の一部の地域や、静岡県、山梨県、宮崎県の一部の地域など、主に山間部を中心に食べられています。
蜂の子は岐阜県では「へぼ」、長野県では「すがら・すがり・すがれ」と呼ばれています。蜂の子を使った炊き込みご飯を「へぼ飯」「すがら飯」と呼んでいて、各地域で慣れ親しんだ食材として食べられています。
海外でも食べられている
蜂の子はタンパク源として海外でも食べられてきました。中国では古くから漢方薬として用いられていましたが、貴重なタンパク源として食用にもされていたのです。
他にルーマニア・メキシコ・エクアドルでも蜂の子が食べられてきた歴史があり、タイでは現在でも一般的な食材として使用されています。
タイでは蜂の子以外にも昆虫全般を食べる文化があり、露店でも様々な昆虫が販売されています。タイの露店では蜂の子など幼虫やサナギのような小型な昆虫よりも、タガメの成虫など大型な昆虫のほうが人気があるようです。
それでもタンパク源として蜂の子は重宝されていて、現地の方が直接蜂の子を採取して家庭料理として並べられたり、一流掘ホテルのメニューとしても提供されています。
蜂の子は郷土料理として食べられている
蜂の子は主に岐阜県や長野県で郷土料理として親しまれています。特に長野県は周囲を山に囲まれた地域で冬には雪の影響で移動が困難になることから、蜂の子は山の貴重なタンパク源として摂取されてきました。
アシナガバチの蜂の子は、他の蜂の子と比べて体は小さめですが甘味があります。ただ1つの巣から採取できる数が少なく、調理するにも満足な量が取れないため採取後にその場でまるごと口に含み、甘味を味わうことがあるようです。それ以外の蜂の子は一般的に調理してご飯の「おかず」や、お酒の「つまみ」として食べられています。
蜂の子の料理
蜂の子を食用にする習慣がある地域の多くは、蜂の子を偶然採取できたときに「混ぜご飯」として食べています。そんな中でも岐阜県・長野県の一部の地域では現在でも積極的に蜂の子の採取が行われていて、日常的に蜂の子が食用として用いられ、様々な調理法で食べられています。
岐阜県飛騨地方の一部の地域にはアシナガバチの蜂の子を柿の葉で包み、いろりの中で蒸し焼きにしたおやつがあります。
食卓に並ぶ料理としては主にクロスズメバチの蜂の子を使用して、そのまま煎って食べることもあるようです。さらに味付けを濃くしたものに煮つけがあり、蜂の子をそのまま煮つけてお酒のつまみにしたり、野菜と混ぜておかずとしても食べられています。
蜂の子の煮つけは他の料理にも応用されています。木枠にすし飯を入れてその上に煮つけを散りばめた箱ずしや、ホオノキの葉ですし飯と具材を一緒に包んだ朴葉ずしなどが作られます。
蜂の子を使用した「すし」は特別な料理とされていて、クロスズメバチを食用にしている地域では秋のご馳走とされているのです。他にも、三河地方の山間部では蜂の子の煮つけをすり潰して味噌ダレにした五平餅が食べられているなど、蜂の子は様々な料理に利用可能な食材なのです。
実際に蜂の子を食べるには?
様々な料理法に活用できる蜂の子ですが主に郷土料理として食べられているため、蜂の子料理を一般購入するのは難しいでしょう。ですが岐阜県恵那市の串橋(くらはし)地区では毎年採取した自慢の蜂の巣の重量を競う「ヘボの巣コンテスト」などを行っている「くらはしヘボまつり」が開催されています。このお祭りでは蜂の巣の即売会も行われているので、巣をまるごと購入して生の蜂の子を味わうことができます。貴重な生の蜂の巣ですので、数に限りがあり価格も手軽とはいかないかも知れません。
お祭りでは、毎年行列ができるほど人気の「ヘボ五平」という蜂の子を使用した五平餅が販売されています。生の蜂の子に抵抗がある方は、火を通しているヘボ五平のほうが食べやすいでしょう。
お祭りは年に1度毎年11月3日の開催ですので、スケジュールが合わない方もいると思います。蜂の子は甘露煮や佃煮として缶詰でも販売されています。通信販売や長野県のアンテナショップでも購入可能ですので、実物の蜂の子を試されてみると良いでしょう。
そもそも蜂の子には栄養はあるの?
蜂の子はあまり積極的に口にするものではないと思う方もいるかも知れません。ところが日本の山間部や海外では一般的な食材として食べられてきました。その理由は、蜂の子は健康で元気な身体をつくる栄養豊富な食材だからです。
蜂の子は豊富な栄養素を含むタンパク源
独特の風味があり昭和天皇も好物として召し上がられていたという蜂の子は、タンパク質や炭水化物、脂質を非常に多く含んだ栄養価の高い食品です。さらにビタミンC、ビタミンB群に加え、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれています。また体内では合成されず、食品から摂取する必要のある必須アミノ酸を9種類全て含んでいるため、栄養バランスも整った優良食品といえるのです。
蜂の子は食卓の「おかず」やお酒と一緒に「おつまみ」として、また「おやつ」としても食べられることもありますが、食用の蜂の子は効果で数も少ないため入手が困難な場合があります。
蜂の子がなかなか手に入らないときは、蜂の子の栄養を凝縮して詰め込んだサプリメントがお勧めです。蜂の子を栄養食品として考えたとき、蜂の子をそのまま取り入れるよりサプリメントとして摂取したほうが体内への吸収率が高まります。タンパク質として食べられてきた蜂の子の高い栄養価を実感してみましょう。