蜂の子とざざむしの違い

蜂の子とざざむしの違いとは

自然の中で暮らす昆虫は、それぞれに特徴を持っています。あまり見かけない昆虫は「虫」と一括りにされてしまいがちですが、「蜂の子」と「ざざむし」には知っておきたい違いがあります。

どちらも昔から人が食べてきた歴史があるのですが、蜂の子とざざむしにはどんな違いがあるのか、みていきましょう。

蜂の子・ざざむしの生息地と特徴

蜂の子

その名のとおり、蜂の子供のことを蜂の子と呼びます。
ミツバチ・スズメバチ・アシナガバチ・クロスズメバチなど、蜂の幼虫やサナギは全て「蜂の子」と呼ばれています。北海道から沖縄まで様々な種類の蜂が分布しているため、蜂の子も全国に存在します。

ざざむし

トビケラ・カゲロウ・カワゲラ・ヘビトンボなど水生昆虫の幼虫の総称で、主に食用とするときに呼ばれる名称です。北海道から九州の水質の良い川の上流に生息していて、石をひっくり返すと見つけることができます。
ざざむしは冬になると餌を食べなくなり虫臭さがなくなるので、採取には冬が適しています。

「ざざむし」の体長は種類によって1~10㎝程度と幅があり、最も大きい種類がヘビトンボで体長10㎝程度になりマゴタロウムシとも呼ばれています。トビケラ種のヒゲナガカワトビケラは川釣りにも使用され、オイカワ・ウグイ釣りの特効餌としても知られています。

「ざざむし」の語源は、ザーザーと激しく川が流れる音に由来しています。

蜂の子・ざざむしを食用にしている地域地域

蜂の子

岐阜県・長野県・愛知県・山梨県・鹿児島県などの一部の山間部地域で昔から郷土料理として食べられてきました。蜂の子は海産物の採れない地域の貴重なタンパク源だったのです。

長野県では「すがら飯」、岐阜県では「へぼ飯」と呼ばれ郷土に慣れ親しんだご馳走でもありました。現在では蜂の子採取に参加する若者が減少して収穫量も少なくなり、食用として口にするのも年配の方が中心となっています。

地元の「蜂の子産品」として佃煮などが販売されていますが、収穫量の減少とともに年々価格も高騰して、今では高級珍味として扱われています。

ざざむし

中部地方、北九州、近畿地方の一部で食べられていて、昔は貴重なタンパク源として重宝されていました。現在では長野県伊那市で食べられることが多く、地元の食材として主に年配の方に好まれています。主に佃煮として食べることが多いようです。

山間部に位置している伊那市は、江戸時代に主要都市から外れていたために流通の面で現在ほど発達していませんでした。そのような理由から、川から採れるタンパク源としての「ざざむし食文化」が築かれていきました。

ざざむしは伊那市の特産品として販売されています。年々漁獲量が減少しているため、現在では高級珍味として扱われています。佃煮の原料に使用されているのは主にヒゲナガカワトビケラで「クロカワムシ」とも呼ばれ、独特の虫臭さと磯の香りが漂うそうです。

また、ざざむしの中で最も大きい「ヘビトンボ」はムカデのような見た目から嫌煙されることが多く、甘露煮や佃煮の原料からは外されています。

蜂の子・ざざむしの栄養

蜂の子

蜂の子は日本や海外で貴重なタンパク源として食べられてきました。中国では2000年以上も前から高級漢方として用いられてきた歴史もあり、食材としても非常に高い栄養価を誇ります。

蜂の子の栄養価の高さは、栄養食品として知られるローヤルゼリーの3倍ともいわれています。アミノ酸の含有率が高く、体内では作られない全ての必須アミノ酸9種類と非必須アミノ酸をバランスよく含み、良質なタンパク質を作り出します。さらにビタミンCやビタミンB群、不足しがちなカルシウムや亜鉛などのミネラル、オレイン酸やリノール酸などの脂質バランスも優秀です。

多くの栄養成分が身体全体に働きかけ疲労回復、耳鳴りや難聴・不眠の改善、アンチエイジング・ダイエット効果など健康、美容ともに効果が期待できます。

ざざむし

ざざむしも昔から貴重なタンパク源として食べられてきたこともあり、豊富な栄養素が含まれています。自然の中で育つ昆虫類は多くのタンパク質を含んでいますが、特にざざむしは冬になると脂質を蓄え栄養も増すとされています。

また、ざざむしの中でもヘビトンボは子供の疳の治療に効果があるとして、漢方薬にも使用されています。

蜂の子とざざむしの共通点

蜂の子もざざむしも、山間部の地域を中心に食べる風習がありました。海から離れた地域では、普段の食卓にも並ぶ一般的な郷土料理として親しまれてきたのです。

現在では個体数の減少や採取に出かける人手不足などの影響で、どちらも食べる風習が減りつつあります。

蜂の子もざざむしも貴重なタンパク源

蜂の子もざざむしも、どちらも山間部の地域の貴重なタンパク源として食べられてきました。昆虫は古くから栄誉を豊富に含んでいることで知られ、人の体内に取り入れることで健康な身体を育んできたのです。

生物をまるごといただくことを「一物全体」といい、生物の栄養をそのまま体内に取り入れることで栄養がバランス良く身体に吸収されるという意味があります。蜂の子やざざむしなどもまるごといただきことで、昆虫に含まれる豊富な栄養成分が私たちの身体に効率的に働いてくれるのです。

とはいえ、昆虫を急にそのまま口にするのは抵抗がある方もいると思います。
見た目や食感が気になるという方は、昆虫の栄養をまるごと凝縮したサプリメントでの摂取をお勧めします。現在ざざむしのサプリメントは販売されていませんが、蜂の子がサプリメントとして販売されています。栄養価の高い蜂の子をサプリメントとして取り入れ、効率良く健康で美しい身体をつくっていきましょう。

参考
中部地方でよく食べられる「ざざむし」、「蜂の子」とどう違う?
https://www.iomlondon.org/zazamushi.html